耳鼻科で「補聴器をつけたほうがいいですよ」と言われた。
最近周りから「聞き取れていないことが多い」と指摘されるようになった。
そして自分自身でも「以前より聞き取りづらくなったな」と感じるようになった。
そうなると
「補聴器をつけようかな」
「やっぱり、つけたほうがいいのかな」
と悩み始める人もいると思います。
私自身も補聴器をつけるまでにはかなり悩みました。
ここでは中度難聴者の私が補聴器をつける前にどんなことを考えていたのか、そして最終的に補聴器センターへ足を運ぶことになったきっかけについて書いていきます。
補聴器をつけたくなかった
26歳の頃、それまで通っていた耳鼻科とは別の耳鼻科を受診しました。
そこで先生から
「そろそろ補聴器をつけたほうがいいよ」
と言われ、
「自分の聴力はそんなに悪かったんだ」
そう思ったのを覚えています。
同時に自分の中にあった「難聴者に対する偏見」にも気づかされ、悲しい気持ちになりました。
それまで私は自分の難聴についてできるだけマイナスに考えないようにしていました。
「聞こえにくいけれど、普通に生活できている」
「今まで何とかなってきたから大丈夫」
そう思うことで、自分の難聴を必要以上に意識しないようにしていたのだと思います。
しかし「補聴器をつける」となると話は別でした。
補聴器をつけて生活する自分と、補聴器をつけずに生活する自分。
当時の私にとってその2つはとても大きく違うものに感じられました。
最終的に私は補聴器をつけることになりますが、耳鼻科の先生に補聴器をつけたほうがいいと言われてから実際に補聴器をつけるまでには何年か悩みました。
補聴器は値段が高い
補聴器をつけることをためらった理由の一つが、金銭面です。
補聴器は決して安いものではありません。
それに当時の私は補聴器センターに対して
「高い補聴器を勧められるのではないか」
「必要以上に高いものを売られるのではないか」
という不信感も持っていました。
今振り返ると補聴器についてよく知らなかったから不安になっていたのだと思います。
周りに相談しても解決しない
補聴器について周りの友人にも相談してみました。
しかし、
「補聴器をつけなきゃいけないほどなのかな?」
「大丈夫そうに見えるけど、そんなに悪いの?」
という反応でした。
友人からすると私が普通に会話しているように見えていたのだと思います。
そもそも私の周りには声が聞き取りやすい友人が多く、私があまり普段から難聴の悩みを話していなかったので余計に理解してもらうことが難しかったのかもしれません。
友人が悪いわけではありませんが、補聴器をつけるべきなのかどうかという悩みは周りに相談しなくなりました。
生まれつきの中度難聴者として
私は生まれつき難聴がありずっとこの聴力で生活してきました。
つまり私にとってはこの聞こえ方が当たり前だったのです。
そのため補聴器を使って聞こえを補うことに対して
「今までの人生を捨てなければならないのではないか」
というような気持ちになることがありました。
私自身、この聞こえ方しか知らずに生きてきたわけなので
「正しい聴力にするために補聴器をつける」
ということが当時の私には
今までの自分を否定されるようにも感じられたのです。
もちろん補聴器は今までの自分を否定するものではありませんでしたが、当時はそう簡単には考えられませんでした。
これまでの人生で私は現状の聴力を基準にたくさんの選択をしてきたからです。
例えば
・声が聞き取りやすい友人と付き合う
・将来を考えやりたい仕事ではないけれどパソコン関係の仕事につける学校を選ぶ
・電話対応がなく人とあまり関わらなくて済む仕事を選ぶ
などです。
聞こえにくいことを前提として、自分ができることやできないことを考えながら人生を選択してきました。
だからこそ「補聴器をつける」ということは単に「耳を聞こえやすくする」というだけではなく自分のこれまでの生き方そのものに関わるような感覚がありました。
新しい職場で仕事に支障が出てくる
そんな私が転職したとき、できるだけ聞こえに負担がかからない条件で選びました。
「聞き取りやすい女性がいる」
「電話対応がない」
「パソコンを使う仕事」
これなら何とかやっていけるだろう。
そう思って仕事を選びました。
ところが実際に入社してみると想定していなかった業務がありました。
「分からないことがあれば、隣にある別会社の男性社員に聞きに行く」
「その男性社員と一緒にお客さんのところへ行く」
などです。
もちろんその業務を断ることもできたのかもしれません。
しかし私はそれまで
「基本的に頼まれた仕事は一度やってみる、やってみて無理だと判断してから断る」
というスタンスで働いていました。
そのため今回も「とにかくやってみよう」と思いました。
しかし今までの経験から分かっていたことですがやはり会話を聞き取ることが難しく、仕事をする中で少しずつストレスがたまっていきました。
もちろん耳のことについても仕事を一緒にする方へ個別に伝えていました。
それでも人と話す場面が増えるほど、聞き取れないことへの負担は大きくなっていきました。
「このまま聞こえにくいことを我慢し続けるのは、もう難しいかもしれない」
そう思い、私は補聴器センターへ足を運ぶことになりました。


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